台北市内は至る所で国旗が掲げられ祝賀モードだった。
この日は「国慶日」という祝日。
台湾の正式名称である「中華民国」の建国記念日にあたる日だ。
パレードで道路が一部閉鎖されたり、TVクルー、カメラマン、警察官があちこちに立っている。
台北のシンボルタワーでもある台北101も見えていた。
朝7時前、朝ごはんを食べに出かけた。地下鉄に乗り華山市場へ向かう。
地下鉄のホームは天井も高く横幅も広い。何よりきれいで美術館のような空間と言っても大げさではない。
台湾で最もポピュラーな朝ごはん「鹹豆漿」の人気店・阜杭豆漿 にやってきた。
店内は大勢のスタッフで大忙し。ガイドブックにも必ず載っている店なので大行列。入店するまで1時間も並んだ。
頼んだのは、厚餅爽蛋(左)、鹹豆漿(下)、甜豆漿(右)。
この店のは絶品だ!と言われる甜豆漿(豆乳スープ)はとってもまろやかで朝の胃袋を優しく介抱してくれた。
厚餅爽蛋は、卵焼きをクレープのような生地に巻いて釜で焼き上げたもの。塩味も効いて普通においしい。
そしてメインの鹹豆漿。
干しエビのダシが効いたスープに豆乳とネギと油條という揚げパンが入り、
完全な液体ではなく、おぼろ豆腐のように半熟に固まってる。生まれて初めて食べる料理だ。
一口目でおいしい!!と確信できた。油っこい料理が多いので朝からこれは嬉しい。
サクサクの揚げパンがスープと馴染み始めたころが絶妙。
食べた後は歩く。2〜3駅くらいなら散歩と割り切りなるべく歩くようにした。
様々な発見もあるし、カロリーを燃焼しないと次のおいしいご飯が食べられない。
しばらく散歩してから中正紀念堂前の自由広場まできた。
巨大な白亜の門をくぐって中へ。
高さ70mの中正紀念堂。
中には蒋介石元総統の銅像。
その前には警備兵が二人。ぴくりとも動かず、瞬きもせず立ち続けている。
微動だに立ち尽くす姿は置物のようだ。まだTシャツがちょうど良い台北の気候でこの格好。
背中が痒くなっても、クシャミやオナラが出そうになってもこのままなんだろうか。
そんな警備兵も1時間に一度、次の警備兵と交代する。さすがに激務なので当然だ。
そしてこの交代式の時間がやってきた。
身長から顔つきまでもがそっくりな警備兵たちは、どれだけ訓練されているんだろう。
一寸の乱れがない動作。エリート中のエリートしかこの仕事は任されないらしい。
さて、台北市内から郊外へ観光へ出かけた。
木柵駅からローカルバスに乗り込み十分という街へ。
台湾の休日と重なりバスは満員で座ることができなかった。
その後もどんどん人が乗ってきて超満員に。
1時間半も警備兵のようにずっと立ち続けていなければならなかった。
全く同じ体制が5分と持たない僕は彼らの辛さがよくわかった。
十分は天燈(ランタン)で有名な場所だ。
山や渓谷沿いを走る平渓線という田舎列車が通る小さな村。
天燈に願い事を書き天に向かって飛ばす。
しかも線路の上で。
1時間に1本しか来ない列車だけど、上下線あるので約30分に1回は電車がやってくる。
ギリギリまでランタンを飛ばし、走って逃げるというのがここのお決まり。
列車もスピードを緩めずに普通に突っ込んでくるのでびっくりした。お互い慣れっこなんだ。
台湾ではよく猫に出会う。この小さな街の屋台にもいたいた。
次々と上げられるランタンは当然落ちてしまう、でもその後のことは考えてはいけない。
道端に落っこちてたり、屋根にひっかかってるのも見たけど。とにかく願いをこめて空へ。
そんな村の活況はお構い無し。
のんびりと暮らしているのもまた田舎町の良いところ。
十分瀑布という有名な滝も見に行った。
前日の雨で水量がかなり多く、岩肌を繊細に流れ落ちる姿では見れなかった。
十分から平渓線に乗り、「侯哃(ホウトン)駅」で降りた。
山に囲まれたところで、のんびりとして何も無い駅だけど、ものすごく有名な駅。
それは村人と100匹以上の猫が共存して暮らしている通称「猫村」だからだ。
駅の周りを10分散歩するだけでたくさんの猫と出会える。
本当に猫だらけだった。
店先でも。
お土産屋さんのショーウィンドウには本物の猫が寝ていた。
店のレジの上も。
振り返ると目が合う。
もはや観光メッカになっていて、たくさんの人が訪れているので猫も人間慣れしている。
というか人間には無関心といった様子だ。
触りたい放題だが、遠くからシャッターを切るだけでそっとしておいてあげた。
猫村をあとにして、九份にやってきた。台湾観光のハイライト、最も人気のスポットだ。
小さな路地の坂道を登っていくと、レトロな街並みと赤い提灯が出迎えてくれる。
小さな通りの両側に屋台、お土産屋、食堂がびっしりと並んでいる。
日本の初詣のような人出。
混みすぎて進めない事もあるけど店を覗いていれば飽きる事は無い。
夕暮れ時に再びここへ来た。ちょうど雨が強く降ってきてPatagoniaのフーディニを着込む。
坂の途中にある茶房には提灯が灯り、開けられた窓のなかで茶を楽しむ人々の姿が独特の景観を生んでいた。
再び台北市内へ戻ってきたのは夜だった。
この日は何を食べてもおいしいと評判の「北大行」というお店へ。
既に3回目の小籠包。毎日食べても飽きない。店によって味が全部違うのがはっきりとわかった。
本場の担々麺。練りゴマがたっぷり、もちもち麺でおいしかった。
一番感動したのはこれ。元盅土鶏湯(ユェンゾンドゥージータン)。
鶏を煮込んだスープ、臭みが全く無く上品な味。
鶏肉も箸で崩れるほど柔らかくジューシー。こんなおいしい鶏スープは初めて食べた。
今回の旅行でベスト3に入る一品だった。
食べて歩いて観光して。そしてまた食べる。
台湾の一日はあっという間だった。
その3へ続きます。。
COMMENT