「鳳凰三山」という山名を聞くたび、
あの稜線から見える白峰三山や、雲から突き出たシンメトリーの富士山がすぐに頭に浮かんだ。
でも自分はまだ二山(薬師岳・観音岳)しか行ってない、いつか地蔵岳へ行きたいと思い続けて早5年。他の山へ浮気ばかりしていたので今回こそ!という思いを背負って鳳凰三山縦走へ行ってきました。
公共交通で夜叉神峠へアプローチ
夜叉神峠からスタートして、青木鉱泉へ下山する縦走コースの場合、下山後に車を回収しづらいので今回は電車で行く事にしました。単独だし電車やバスに揺られて本でも読みながら気楽に行こうかと。
金曜日の夜、最終電車で甲府駅に到着し駅の構内で野宿。南口のロータリーには既にたくさんの登山者がベンチで野宿していた。
夜叉神峠~広河原行きのバスは朝4時半に甲府駅を出発する。出発時間が近づくと、どこからともなく登山者が100人ほど集まってきた。1時間前から並んでいる人もいたけど、結局バスは6台体制で行くのでギリギリ到着でも問題なく全員座れてた。しかし恐るべし登山人気。さすが夏山シーズン。
僕の乗ったバスの乗客は、ほとんどが北岳を目指すらしい。
終点の広河原で降りるようなので、手前の夜叉神峠登山口で降りたのはわずかに数名だった。
朝6時過ぎ、登山届をポストに入れて夜叉神峠へ向けて出発。
昨夜は自宅を9時に出たので、ここまで実に9時間の長旅だ(笑) ま~嫌いじゃないんだけど。
緑に囲まれたゆるやかな土のトレイル。
新鮮な空気を吸い込みながら快調に進む。
出発から35分。夜叉神峠につくと景色が広がり白峰三山が見渡せた。天気も予報通り上々だ。
夜叉神峠からは樹林帯へ。
フラットな道もあり大変歩きやすい。
調子良いペースで進んでいくと、今度は登りが続く。
ここで一気にスローとなり、ゆっくりゆっくりと登る。
そして杖立峠到着。
意外と苔が多く、良い香りが登山道を包んでいます。
森に太陽が差し込むとコメツガも輝き出す。
こんなに苔多かったっけ。本当に気持ち良い登山道です。
苺平を通過。
この看板が見えれば南御室小屋は近い。
8時45分。南御室小屋到着。
記憶と懐かしさが込み上げて、ニヤニヤ顔しながら写真撮っている怪しいハイカーになっていた。
広々とした平らな場所、水場もあるし良いテント場ですね。
ここの湧水を楽しみにしていた!
感動するほどおいしかった記憶。
メチャクチャ冷たくておいしい!夏山には最高のご褒美だ。
顔洗ったり、たっぷり水分補給して行きます。
マグラーメンとおにぎりで休憩。
森に囲まれた山小屋から吐き出る煙をじっと眺めてた。
なんだか癒される景色。
南御室小屋からは稜線に向けて一気に上がっていきます。
森林限界を超え白い砂地のトレイルになったら絶景が広がる。
いやっほー。
どっしりと北岳。そして間ノ岳~農鳥岳。
仙丈ヶ岳。今日はどこも天気良くて登山日和だね~
絶景でなかなか進めなかったけど、薬師岳小屋に到着。
静か。 誰もいない。
今日は稜線上もかなり暑い。
小屋からちょっとだけ樹林が続く。日陰があるだけで助かる。
標高2.500mを超える天空の庭。
10時15分。薬師岳到着。
どこまでも続くでっかい空。
1泊2日の装備もなんとか20ℓで収まった。
パックウェイトは6.7kg (飲料水含まず)とまずまずの軽さです。
花崗岩の足元に咲くタカネビランジ。あちこちに咲いてます。
観音岳へ向かって。
あっという間に到着。
観音岳山頂まで来ると、オベリスクを抱えた地蔵岳、その向こうに甲斐駒ケ岳が見える。
絶景の稜線を歩ける幸せ。
八ヶ岳の上空に不思議な雲が。
さっき通過した薬師岳山頂を振り返る。
このまま地蔵岳へ縦走してから、鳳凰小屋に降りる予定だった。
しかしこの辺りで頭痛に襲われてしまう。水分はしっかり取ってたんだけど。
おまけに今日はサングラスも忘れて白い砂地の照り返しが眩しすぎ。目も痛い。
時刻はまだ11時。このまま縦走したらやる事なくなっちゃうしな。
鳳凰小屋のテン場も狭いうえにシーズン中の週末は激混みで、14時頃には張れなくなる可能性もあるとか。
そんな事を考えながら、地蔵岳と鳳凰小屋まき道の分岐に到着。
迷わず鳳凰小屋へ降りる道を選択。頭痛にはかなわない。
先にテント張ってゆっくり休憩してから地蔵岳へ行こう。
11:35 鳳凰小屋到着
登山道に沸く大量の虫たちを手で追い払いながら、
約30分で今日の幕営地、鳳凰小屋に到着。小屋の裏には沢が流れていて気持ちいい場所。
スタッフはイギリス人もいたりして、みんな優しかった。
登山者をあたたかく迎えてくれる山小屋。
小屋の周りにはクルマユリ。
まだ午前中という事もあってか、テント場はガラガラ。
この奥には段々畑のようにいくつかの平地があります。
予想通り、「今日は混むから詰めて張ってね~。あとから移動のお願いをする場合もありますので」と言われます。
ニンジャタープで来るつもりだったけど、狭いテント場だとわかっていたのでフライクリークUL1で来ました。できる限り端に寄せて設営します。案の定、虫もかなり多くてダブルウォールテントで正解だったかも。
水場の水量も豊富です。
頭痛を抑えながらも、求めていたのはキンキンのビール。
つめた~い缶ビールをおでこに当てながら一息。
1缶飲んでお昼ごはん食べて、ゴロゴロしていたら調子がかなり良くなった。
まだ上空には青空が広がっている。
最低限の荷物だけ突っ込んで、地蔵岳ピストンへ向かいます。
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