2015年のGW山行は初の東北、磐梯山へ。
3年程前から何度も計画を立てても天気と予定が合わずここまで流れてしまっていた山。
そんなうっぷんを全て吹っ飛ばしてくれた山頂からの大展望、そして表磐梯から裏磐梯へと変化に満ちたトレイルを歩く事ができました。
磐梯山は主に6つの登山コースがあります。登山口が1合目で山頂が5合目。
東西南北様々な角度から山頂を目指す事ができますが、うち5つのルートは山頂直下の4合目で合流する事になります。
そしてスキー場のある穏やかな表磐梯。対して噴火口の跡が荒々しい裏磐梯。
南北で劇的に変わる山肌の様子。そして噴火によって生まれた美しい色をした神秘の沼。
魅力がたくさんあるのでどのコースから登るか本当に迷いました。。
磐梯山 主な登山ルート
無雪期のピストンコースタイムです。2015年度版の「山と高原地図」標準CTを参照しています。
①猪苗代登山口 往復6時間55分
登り 3時間55分 下り 3時間
最も展望が良いコース。スキー場ゲレンデの急登を登っていく。山頂までは標高差1100m。
②翁島登山口 往復5時間20分
登り 3時間 下り 2時間20分
猪苗代リゾートスキー場から直登ルート。唯一どのコースとも合流せず山頂までダイレクトに行ける。
③八方台登山口 往復4時間10分
登り 2時間15分 下り 1時間55分
標高1194mの峠からスタート。最も登山者が多く最短で登れるコース。4合目の山小屋で他の登山道と合流する。
④裏磐梯山登山口 往復7時間5分
登り 3時間55分 下り 3時間10分
最初に林道を歩き、スキー場入り口からゲレンデを登り詰めたあと、③と合流するか、⑤と合流するかコースが2手に分かれる。どちらも残雪期はトレースや人も少なく迷いやすい。
⑤川上登山口 往復7時間10分
登り 3時間55分 下り 3時間15分
磐梯山の北東から登るルート。櫛ヶ峰を眺めながら進む。ガレ場、崩壊箇所、破線ルートあり。3合目で①、⑥と合流。
⑥渋谷登山口 往復7時間45分
登り 4時間10分 下り 3時間35分
最も低い標高からスタート。CTも一番長い。3合目手前で①と合流。
ヤマレコを見てもマイカー利用でピストン山行が基本となるようですね、でもそこをなんとか縦走したいな。下山後の車の回収さえうまくいけばコースタイムとして無理ではない。という事で南北縦断コース、下山後には五色沼の探勝路まで歩いちゃう欲張りコースを計画する事にしました。
計画した縦断コース
スタートは展望の良い表磐梯の代表コースでもある①猪苗代登山口から。
登山口に車を停めて山頂まで登り、3合目まで一旦戻り分岐点から⑥裏磐梯登山口へ下山。その後五色沼を1時間程歩いて五色沼入り口バス停がゴール。
バスで猪苗代駅まで戻り、さらに駅から猪苗代登山口までタクシーを利用する事にしました。表と裏の両方歩きたいというわがままコースです。
「縦走」とは稜線、尾根道を進みながらいくつもの山を越えていくという事。磐梯山は独立峰の為、正確には「縦走」とは呼べないかもしれない。まぁ縦断コース、縦走コース、どちらの言葉も使ってますが要はピストンではなく一筆書きにしたかったという事です。
前置きが長くなりましたが、こんなコースを立てて予定通り朝5時に出発。
5:00 登山開始
猪苗代スキー場から出発。GWなのに駐車場に車は全く止まっていなかった。誰もいない。
場所を間違えているんじゃないかと思う程閑散としていてびっくり。
ゲレンデ入口。既に磐梯山のピークがちらっと見えてます。
リフトの左側が登山道、というかスキー場のゲレンデです。ここをひたすら登っていきます。前方には磐梯山山頂、振り返れば猪苗代湖という贅沢な眺め。
あ!! カモシカ!
こんな広々とした人工のゲレンデにいるとは思わなかった。
ようこそ、と出迎えにきてくれたのかな。ありがとう、今日はがっつり歩きますよ〜。
朝日が昇りはじめた。
スキー場だけに結構急な斜面だった。既に汗がびっしょり。
ようやく斜面が一段落したところで残雪も現れた。
6:20 1合目到着
ゲレンデを登り切ったところが1合目。
猪苗代湖の展望が素晴らしい。遠く遠くに雲海も見えた。猪苗代の街、田園があんなに小さい。
標高が上がると桜もちらほら。
1合目からは樹林帯に入った。日陰の残雪道となったけどアイゼンは特に必要はなかった。
一番怖かったのはヤツのフンと思われる黒いブツが登山道のど真ん中に。しかも新鮮な感じだ。
数日前にこのエリアで男性がクマに襲われて怪我をしたというニュースもあった。
熊鈴を慣らしながら、二人でパン!パン!と手を叩きながら進む。
2合目がある赤埴山(あかはにやま)の分岐に到着。熊も怖いし早くここを抜けたかったのでここは巻き道を選択。赤埴山は今回スルーした。
しばらくすると樹林を抜け、磐梯山の大きな姿が見え始めた。
残雪量も増えてきた。でも少し進むと土の道。こんな感じで雪と土が交互に現れてくる。
キャプリーン4では暑過ぎて大量の汗。アンダーウェアのメッシュTだけでちょうど良かった。GWの会津は結構寒いと予想してたのに。今年は春が短くてもう初夏なのかと思いたくなる。
快晴。青空。響き渡る野鳥のさえずり。この辺りは歩いてて最高でした。
沼ノ平に到着。国立公園内なんですね。
そして沼ノ平から見上げる磐梯山東壁。樺の林、枝のアウトラインが繊細で綺麗だ。
登山コースはこの東壁をぐるりと周り込んで行きます。
土砂の跡。
トレースもついているので迷うようなところは特にありません。 この辺りは転がってきた落石が少々ありました。
ここはすごい急登。腐れ雪で柔らかいのでキックステップで蹴り込みながら登った。アイゼンは要らないけど付けてもよかったかな。
しばらく登って振り返るとこの景色。標高の低い山もたくさん見えて来ました。
右に見えているのが先ほどスルーした赤埴山。
3合目の手前。川上登山口との合流地点。
山頂まで登ったらここまで戻ってくる事になります。
裏磐梯の荒々しい表情が見えて来ました。それらを象徴するような天狗岩。
7:35 3合目到着
3合目は休憩にもってこいの場所。ダイナミックな景観のなか、おにぎり食べてエネルギー補給。
3合目からは磐梯高原の絶景。
裏磐梯最大の湖「桧原湖(ひばらこ)」、手前の小さなエメラルドグリーンの「銅沼(あかぬま)」も見えます。
快調に登っていくと黄金清水の水場。冷たくておいしい。水量も豊富でした。
このコースで最も存在感のあるのが櫛ヶ峰(くしがみね)。
太古の火山というか、草木も生えぬ独特のオーラがあります。
もうすぐ4合目の山小屋。
7:55 4合目到着
4合目には山小屋が2軒、隣あって建っています。
こちらは弘法清水小屋。
そしてもう一軒の岡部小屋。
優しそうな小屋のご主人が話かけてきてくれた。
小屋の目の前から残雪を登る直登ルートがある。トレースもはっきりと付いている。聞いてみると最後は藪漕ぎでメチャクチャ大変らしい。普通のルートで行った方がいいそうだ。
帰りにゆっくり寄ってってな〜。
はい、山頂踏んだら寄りますね〜っと挨拶して出発。
という事でノーマルルートから登ります。ここから山頂まではあと25分。
狭い登山道ですが標高をぐいぐい稼いでいきます。展望もかなり見えるようになって来ました。
8:20 磐梯山山頂到着
磐梯山山頂からは360度の大展望だった。
猪苗代湖も全景が見渡す事ができる。鳥になった気分。
なんといっても飯豊山の眺めが素晴らしい。
3合目の天狗岩からチラチラ見えていたんだけど、やっぱり山頂から見る飯豊山が端から端まで全て見渡せて一番きれいだった。
縦走には最低3日〜4日必要だけど絶対に歩きたい山のひとつ。
西吾妻山。あの個性的な雪のラインが目印。
桧原湖の向こうには朝日連峰。右端にうっすらと見えたのは月山。
福島県と山形県にまたがる飯森山。
初めてみた東北の山々。その他にも安達太良山、名前もわからない山々、たくさん見え過ぎた山頂でした。
でもやっぱり飯豊山が一番良い!ずっと眺めてしまいました。
山頂を満喫したら岡部小屋まで戻ります。
小屋の前には鐘もありました。
ゆっくり休んで〜、いらっしゃ〜い。
と小屋の中へお邪魔させてもらい、窓際のテラスにザックを降ろすと裏磐梯が見渡せるナイスビューなカウンター。
こっちこっちおいで〜、
小屋の方達(全員おじさん)が3名いらっしゃいましたが、どうやら朝から宴会やっているみたい。
と中央のテーブル席に着席するや突然出されたのがこれ。
アルコール度数52%の中国酒って。。朝からすごいな。
小屋の目の前にある名水・弘法清水で割るとうめ〜ぞ〜。
と教えてくれたので水割りにして頂く事に。
運転なので僕は飲みませんでしたが、東北の方は酒強いなぁ。
話を聞くと昨日から睡眠時以外ずっと飲んでいるそうで。
山の話を聞きながら、お新香やおつまみもたくさん頂いちゃいました。
どんどんエスカレートしていき、福島の地酒も登場。
ま〜飲め飲めと(笑) 居心地が良過ぎて長居してしまいそうです。
会話が止まらない小屋の方。楽しかったです。
これから始まる下山と、バスの時刻もあるのでこの辺で。
磐梯山の素敵なキーホルダーを買いました。
これから降りる裏磐梯登山口までの状況も詳しく聞いてみると、
この時期は人がほとんど通らないのでトレースも無く、ピンクリボンも少ないので迷わないように気をつけなと言う事。気を引き締めて出発だ。
昨年はグレートトラバースの田中陽気さんも来たらしい。
岡部小屋は本当にあたたかい方達で福島の振る舞いを感じる事ができました。
お邪魔しました。ご馳走様でした。
さて、磐梯山山頂も無事に登頂して岡部小屋でエネルギー補給完了。
裏磐梯へ下山開始です。
後編へ続きます。
COMMENT