3月下旬。
厳冬期と呼ばれる時期もそろそろ終わり、待ち遠しい春がやってくる。
高揚する気持ちの反面、あの真っ白い稜線と青い空が広がる雪山の世界へもう一度行きたい。
もう一度、雪を踏みしめながら歩きたい。
そんな気持ちが抑えられず、決めたのは群馬県の上州武尊山。
武尊山は8つのピークから成る成層火山。登山コースもたくさんあるけど冬の定番でもある川場スキー場からのピストンにした。
天を突き刺す剣ヶ峰山を越え、最高峰の沖武尊(おきほたか)を目指すこの冬最後の雪山へ!
川場スキー場からリフトで一気に尾根道へ
出発は川場スキー場のリフト乗り場から。こんなアプローチは初めての経験。
今回のスタート地点はリフトを2回乗り継いだトップの場所から始まる。
多くのスキーヤー、スノーボーダーに混ざってリフトに乗り込んだ。登山客は1割程度。
第一リフトを降りると既に山の中腹。次のリフト乗り場まで歩いて行く。
リフト券は1回450円。トップまで2回乗るので片道900円。往復で1800円だ。リフト券購入時に登山届の提出が義務付けられている。用紙はスキー場のカウンターにもあるし、オリジナルでも可。
そして1人1枚「登山届提出済証」が発行され、リフトに乗る時はこれを見せないといけません。下山後にはリフト券売り場でこの証明書を返却し、名前・人数確認をして下山報告となります。
なので絶対に無くしては行けないもの。そう言われると無くしそうだなぁ。万が一の為に写真を撮っておこう。
尾根まで一気に上がって行く。
周囲の山々も見え始め、期待が高まってきた。
そんな時、Mark Ronson 「Uptown Funk ft. Bruno Mars」がスキー場のスピーカーで流れていた。ノリノリだね。
わずか20分程の空中ブランコ。景色も良くて楽しめた。
少しずるいような気もするけど、いきなりこの山のハイライトとも呼べる尾根からスタートです。
9:00 登山開始
リフト降りたところが登山開始の場所。
ここで準備体操とアイゼン装着。天気も良し、時間も予定通りだ。
ここ数日で確認しづらい程度のクラック(雪割れ)に注意という山行記録を見ていた。
今日はそのクラックがさらに大きくなりパックリと割れている。高さ3m、幅は2m程度。
ハイクアップの時にクラックの場所をよく確認して覚えておくようにした。
下山時、斜面の上からだとクラックは見えにくい為だ。
最初の急登。あたたかい太陽が後押ししてくれる。
朝の雪面は固くアイゼンとピッケルが良く刺さり登りやすい。午後には融けてくるので、ボコボコしたトレースが無数についている。
風もほとんど無く気温はマイナス2度。気温からは想像する以上にあたたかい。
行く山と季節と天候を想定し最適なレイヤリングを選ぶのがまだまだヘタクソな自分は、特に冬山に対する心配性も重なり色々とウェアを持ってきてしまう。3月の上州は初めてなので今回は良い経験ができた。
最初の斜面を登りきると剣ヶ峰山が見え始めた。
一見平坦に見えるトレースも、踏み外した跡がかなりあり小さい穴ぼこだらけ。少し歩きづらいです。
この辺りでハードシェルとダウンベストを脱いだ。
キャプリーン4 + patagoniaのフーディニにチェンジ。フーディニは薄手のウィンドシェルの為、非常に柔らかくて動きやすい。外気と風を防いでくれると同時に透湿性抜群。もう3年以上は使っているけど山へ持って行かない日は無い程出番が多い。寒さも厚さも感じる事は無く、汗かきな僕にはこの組み合わせはかなり快適だった。
スタートから30分。あっという間に剣ヶ峰山の山頂へ。
山頂付近にはばっくり口を開けた大きなクラック。
下山時は要注意だ。
剣ヶ峰山の山頂到着。尖がったピークの為、狭いけど360度の絶景です。
武尊山の山頂まで続く尾根道。中央の一番高いピークが最高峰の沖武尊。
剣ヶ峰山からの下りは注意する所。かなり角度のある斜面を下りていく。
下ってきた剣ヶ峰山の斜面。
誤って転んだらどこまでも滑り落ちて行ってしまう。
あとは山頂まで尾根道を快適に進んでいくだけ。
景色も良いので本当に気持ち良い。
小高い斜面を先に登り切った嫁が、振り返り様にあれあれ!と指差す。
この景色はすごかった。剣ヶ峰山はこのルートの象徴的存在。
僕は振り返るのを我慢してゆっくり登っていた。
この先からいきなり増えた穴。
深さは2m以上ありそう。これは近づかないよう要注意。
最後は急な登りが続いたので息が切れそうなところもあったけど、トレースを外さなければそれほど危険なところもなく無事に山頂に着く事ができた。しかも山頂まで2時間切ってしまうなんて。リフトを利用しなければ絶対に無理なコースタイム。
10:50 武尊山山頂到着
一番存在感のあったは谷川岳。一ノ倉沢の岩壁だけ黒々としているのは迫力があった。
山頂の稜線を東へ進むと次のピークでもある中ノ岳。
数名が中ノ岳に向かって出発していた。武尊山の山名の由来にもなっているヤマトタケルの銅像があるらしい。
北側には燧ケ岳など尾瀬の山、日光の山も見渡せた。武尊山がこれほどまでに展望が良いとは知らなかった。
小休憩しながら景色を堪能し、寒くなってきたので下山開始。また違う季節に登りに来ます。
11:15 下山開始
帰りは常に剣ヶ峰山のピークを見ながら帰る。昼なのにまだまだ登山者が登ってきます。
山の風景を最後まで堪能しながら歩く。また上州の山に来たくなります。
帰りのハイライト。来るときに降りてきたあの急斜面を今度は登る。
この辺は本当にダイナミックな景観。
登りきると最後の危険個所を通過する。剣ヶ峰山ピークの真下。来る時に確認したあの割れ目。
下山時はかなり見えにくい。誤って近づかないように注意しながら下りる。
下山報告を済ませ、掲示板に目をやるとこんな情報が。
たしかに剣ヶ峰山のクラック直下に雪洞が2つ掘られていたのを見ました。これが大変危険な状態だという事。
雪崩に巻き込まれるのを防ぐ為、雪洞を作った際は必ず崩して帰る。勉強になりました。
今日は終日快晴で本当に恵まれた天気。
帰りはのんびりと山麓の道の駅にあるお蕎麦屋さんへ。武尊山もちらっと見えています。
手打ちそば。サックサクの天麩羅。めちゃくちゃおいしかったです。
雪山が見せてくれた、ため息が出るほどの美しさ。
今シーズン最後の(恐らく)雪山登山が最高の天気に恵まれて感謝です。
上州武尊山、最高でした。
これから残雪のシーズンもあるし、新緑眩しい春の山も楽しみ。
そして上州の山々。また近いうちに登りにきたいです。
雪の上州武尊山 山行概要
日程 : 2015年3月21日(日帰り)
メンバー : 二人
主なピーク : 剣ヶ峰山 2,020m 武尊山 2,158m
行動時間 : 3時間25分(小休憩含む)
合計距離 : 約4.8.km
【 コースタイム 】
9:00 川場スキー場ゲレンデトップ – 9:30 剣ヶ峰山 – 10:50 武尊山山頂(沖の峰)
11:15 武尊山山頂 – 12:05 剣ヶ峰山 – 12:25 川場スキー場ゲレンデトップ
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