槍ヶ岳。標高3,180m。
天に向かって突き刺すこの頂を初めて見たのは、北穂高山荘のテラスからだった。
大キレットの向こうに誰もが目を奪われる山があった。何かこの山々のひとつのゴールのように見えた。
登ってみたい。そう憧れを抱いてから2年後、ようやく槍ヶ岳へ向けて出発する時がきた。
代表的な槍ヶ岳へのルート
鏡平コース: 新穂高温泉より出発し、鏡平、双六小屋、西鎌尾根を経由する左俣谷。
槍平コース: 同じく新穂高温泉より出発し、健脚日帰り可能な右俣谷。
槍沢ルート: 上高地〜横尾〜殺生ヒュッテ。初級者向け。
西鎌尾根: 裏銀座の最後に締めくくる双六小屋~西鎌尾根ルート。
東鎌尾根: 表銀座コースのハイライトになっている東鎌尾根ルート。
槍穂縦走: 北穂高〜大キレット〜南岳を通る槍穂縦走ルート。
北鎌尾根: 熟達者のみ許される岩稜登攀の北鎌尾根ルート。
いずれも縦走やロングコース、上級コースの為、通常なら2~4日は必要とされます。
そして今回僕が選んだのは上高地起点となる槍沢ルート。
難易度が最も低く、がんばれば1泊2日で往復できるコースです。
【槍沢ルートプラン】
1日目 上高地〜殺生ヒュッテ(テント泊)
2日目 殺生ヒュッテ〜槍ヶ岳山頂〜殺生ヒュッテ(テント撤収)〜上高地
上高地から出発
穂高登山以来となる久々の上高地に到着。
バスから吐き出された多くの登山者が各々の出発地へ向けて準備をしている。
今回は嫁と2人登山。準備を整え、登山計画書を出して歩き始めた。
河童橋から梓川と穂高連峰。上高地は本当に美しい所だ。
まずは平坦な道を約3時間。横尾までウォーミングアップ。
たくさんの登山者とともに歩いて行く。様々な装備を担いだバックパックで賑わう。みんな他人だけど目的と時間が一緒なので集団歩行になってしまうがこれもまた楽しい。
いや~この景色に心は弾みます。横尾までの3時間は癒しの散歩道のようでした。
この後がとんでもなく辛くなるのはこの頃はまだ知らない。。
出発して45分ほどで明神に到着。深呼吸、ストレッチ、水分補給、準備体操で体を調整する。
やっぱりテント担いだザックは体への負担が大きい。
徳沢キャンプ場に到着。いや~懐かしい!2年前の奥穂高の帰りにテント泊した場所でもあります。
あの時が初めての北アルプスだった。大好きな場所。
徳澤園。雰囲気がよく優しいデザインの宿だ。もちろん「氷壁」も読んでます。
登山者やキャンパーで賑わう徳澤園。ここの脇にある水場でハイドレーションを満タンにした。
横尾到着
徳澤園から1時間。あっという間に横尾到着。まだまだ先が長いのでようやく出発地点に到着という感じ。前回はここから横尾大橋を渡って涸沢へ行った。今回は真っすぐ槍沢方面へと進んで行きます。
横尾山荘の前には沢の水で冷やされた缶ビール達。めっちゃうまそうだけど、まだまだ我慢です。。
ここからは初めてのルートです。
上高地からここまで平坦道を11kmを歩いて来た。まだまだ序の口でここから槍ヶ岳山頂まではさらに11km!
沢沿いに歩いて行くのが気持ち良い。真夏だったけど暑さはほとんど感じなかった。
個人的な感想では、槍沢ルートは明瞭で危険箇所は特にないと思った。
そして美しい梓川沿いを登るので水場が豊富にありました。飲料水も含め全て現地調達できます。
なんと言っても沢の水はキンキンに冷たくておいしい!このおかげでがんばれたところもあるのだ。
梓川の美しさに感動しながら。まだまだ平坦道。
最後に軽い登りがあり、ほどなくして槍沢ロッジ到着しました。横尾から約2時間かかりました。
ここでお昼休憩にします。ご褒美にビール1本ね。
おにぎり片手にラーメンを作っていたら、ポツポツと雨が降って来てしまった。
お昼休憩にはもってこいの場所。ベンチもたくさんあり登山者も多く休憩してました。
ここから槍ヶ岳まで5.9km!!
お昼休憩後、曇り空を見上げながら再出発。まだまだ体力も余裕だ。
槍沢ロッヂから約30分でババ平テント場到着。ここにテントを張る人は先に槍沢ロッジで受付をしなければならないので注意。
テント場というより、登山道の両脇にテントが建てられている感じだ。水場はあるけど、ホースで引っ張ってきていた為かヌルかった。
僕も最初はここにテント張ってサブザックで山頂ピストンを狙っていたけど、もう少し上までがんばって槍ヶ岳の真下でテントを張りたい。という思いで先へ進みます。まだ時間的に余裕だしね。
上高地から6時間で到着する大曲。
ここから本格的な登りとなります。雪渓がある為、軽アイゼンは持って行ったが今回は全く必要なかった。
いよいよ登りがきつくなり始めた。登山道も徐々にガレ場に川変わってきました。
標高が上がるにつれ、高山植物も増えて来ました。疲れている時だったから花達に元気をもらいながら登って行きます。
登って登って振り返る度に景色が良くなって行く。向こうに常念岳の頭が見え始めた。
いや〜登って来たなぁ。西岳、赤沢山、常念岳を眺めながら休憩。
疲れ果てた頃、大曲から約2時間、ついに槍の穂先が見え始めた! 殺生ヒュッテも見える!
槍が見えてからがかなりきついのね。
体力消耗していたので、なかなかテント場に辿り着かない。
殺生ヒュッテ
スタートから9時間。息切れしながらようやく殺生ヒュッテのテント場到着! 受付を済ませ設営場所を探します。1張500円だ。東鎌尾根への分岐もあります。
ここは水場がありません(小屋で買えますが) 登り途中で沢水をたくさん確保しといてよかった。
殺生ヒュッテは約70張可能。槍と常念山脈を眺められる贅沢なテント場。
岩稜地帯でペグの変わりに岩を使い放題。
すでに多くのテントで埋まっていて、良い設営場所を見つけるのに苦労した。
ごつごつ岩だらけなので、平らな設営場所がなかなか見つからない。
小屋から大分離れてしまったが、上段に広い場所をやっとみつけて設営しました。
なぜ、テントのドアをこちら側に向けているかというと…。
テント内からは常に槍ヶ岳が目の前に見えるのだ!!
早速テント内に転がり込んでプシュっ!っとビール飲みがら、う〜ん贅沢!
天候は良くならず、槍の穂先は見えたり隠れたり。
今日はよく歩いたので、テントでゆっくりお休みします。
18時頃、一瞬晴れ間が!
ダイナミックな空を眺めながら気分はほろ酔い。
夜、風も雨も止み、静寂のなか巨大な満月が浮かんでいた。
あまりにも明るい満月。吸い込まれそうだった。
21時。 槍と星空。おやすみなさい。。
翌朝は、信じられない程の好天気に恵まれた。
絶好の登頂日和だ。
槍ヶ岳 DAY1 山行概要
日程 : 2011年08月12日 ~ 08月13日
メンバー : 二人
行動時間 : 登り 約9時間
【 DAY1 コースタイム 】
7:00 上高地バスターミナル – 7:45 明神 – 8:30 徳沢園 – 9:30 横尾山荘 – 11:20 槍沢ロッヂ(昼休憩)
12:30 ババ平テント場 – 13:00 大曲 – 13:50 天狗原分岐 – 15:20 坊主岩小屋 – 16:00 殺生ヒュッテ テント泊
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